バチカンの美形神父、平賀とロベルトが活躍する『バチカン奇跡調査官』も5冊目です。
2017年にアニメにもなっていたようですが、3冊目くらいまでしかアニメでは盛り込んでいませんね。
その代わり、平賀やロベルトの協力者、ローレンや、平賀の弟、良太のことを少し掘り下げているみたいで。
原作小説ではまだ、この二人の背景についてはあまり出てきていません。
アニメオリジナルなのか、今後、出てくるのか。
色々と楽しみです。
現在、原作は23巻まで出ているみたいなので、道は長いなあ。
新作も今後出るでしょうしね。
さて、5巻目、サブタイトルが「血と薔薇と十字架」。
これが指すものは、一つですよね。
吸血鬼です。
いよいよ、平賀とロベルトも吸血鬼の謎に挑みます!
今回は、いつものようにバチカンからの指令で調査するのではなく、たまたま英国で仕事を終えて戻る途中で、事故に遭遇。
事故に遭った場所、ホールデングスという田舎町で、吸血鬼を目撃するのです。
しかも、他の街へ通ずる道がふさがれ、ミステリーでいうクローズドサークル状態。
町長のルークの屋敷にしばらく滞在しなくてはならなくなります。
滞在中、吸血鬼に襲われて命を落とす町民が後を絶たず、平賀もロベルト調査に乗り出します。
というのも、二人はもともと吸血鬼に興味があったみたいなんですね。
さらに、ルーク家には吸血鬼専門家と自称するタリチャアヌ教授がいて、二人は教授から色々と話を聞きます。
ホールデングスの地を治めているのは、代々ブロア家という大貴族で、ルーク家もその流れを汲んでいます。
そして、この地では昔から吸血鬼の存在が信じられているのです。
今回も、たくさんの人が首筋に噛み後を付けて失血死しますが、警察は「吸血鬼の事件は教会が担当」と言って、殺人事件ととして取り扱いません。
警察の介入はほぼないのです。
科学的な検証をしつくさないと、吸血鬼の存在を信じられない平賀とロベルト。
しかし、いつもと違って、ちょっと調査が難しい事情が出ました。
英国はプロテスタントが主流。
この街にあるのも、英国国教会なので、ローマ・カソリックの本山であるバチカンから来た二人は、煙たがられてしまいます。
なので、教会内の捜査や、教会の書庫は使えませんが、二人は吸血事件があるたびに、ずかずかと現場に赴き、現場検証をしたり、血を採取したり。
吸血鬼の謎を解きたいという熱意があるからとは思いますが、なかなかに図々しいというか、行動的です。
ただ、二人の目の前に吸血鬼が現れるし、雲もないのに雷の音を聞いたり、不思議な光を見たり、吸血鬼が一瞬で山の上に移動したりと、どう考えても超人的な存在がないと説明がつかない事ばかり。
さすがに、今度は本当に人知を超えたものがあるんじゃ…と思わせられます。
まあ、毎回そうなんですけど。
二人は、吸血鬼の正体と、その謎を解くことができるのでしょうか?
また、今回も平賀が危険な目に遭います。
とある人物が、吸血鬼と契りを結んで不死になりたいと画策。
この人物が吸血鬼と見せかけて殺人を起こしたりもするものだから、余計に事件が増えて、ややこしいことになっていたんです。
吸血鬼と契約を交わすには、生贄が必要。
その条件は「童貞か処女の、若くて容姿の美しい聖職者」。
これって、平賀じゃん!
そう、平賀は攫われて、生贄として捧げられかけます。
そこに、現れるのがバディのロベルト!!
暗号で隠されたを見つけて、あわや、というところで平賀を救い、別に現れる敵から何とか逃げ切ります。
これぞバディ!
敵は命を落としましたが、どうせ吸血鬼のせいになって警察も動かないのだから、二人はさっさとバチカンに戻ります。
分かったことも多いですが、一部謎は残っています。
そして、最後の最後に、あの人の存在がちらっと表示されます。
あの、もう一人の美しい男性、今のところ、二人の敵である秘密結社の彼ですよ。
シリーズ各話の裏で、大きなものが動いていることが示唆されているわけで。
次巻以降も読ませようってことね!!
今回、FBIのビルは出てきませんでしたが、また登場するのも楽しみです。
バチカン奇跡調査官 血と薔薇と十字架 (角川ホラー文庫) [ 藤木 稟 ]